私的な宅建過去問解説

平成18年9月24日 UP
使用貸借

★使用貸借契約とは★
【使用貸借は、当事者の一方が無償で使用及び収益をした後
に返還をすることを約して相手方からある物を受け取ることに
よって、その効力を生ずる。 】

POINT
重要なのは『無償で』という部分である。使用貸借と賃貸借契
約は似ているが、「無償か有償か」でまず大きく異なる。賃貸
借と比べ、使用貸借は無償であるがゆえ、当事者のお互いの
信頼に基づいている
。このことから使用貸借独特の性質が生
まれる。

借主による使用及び収益
借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法
 に従い、その物の使用及び収益をしなければならない。
借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物の使用
 又は収益をさせることができない。
借主が上記の規定に違反して使用又は収益をしたときは、
 貸主は、契約の解除をすることができる

POINT
@貸主の承諾を得なければ第三者に使用収益させることが
 できない。
A無断で使用収益させた場合、契約は当然に解除となるの
 ではなく、契約の解除をすることができる。(任意)

★貸主の担保責任
貸主は、使用貸借の目的である物又は権利の瑕疵又は不存
 在について、その責任を負わない。ただし、贈与者がその瑕
 疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、こ
 の限りでない。

借用物の返還の時期
借主は、契約に定めた時期に、借用物の返還をしなければな
 らない。
当事者が返還の時期を定めなかったときは、借主は、契約に
 定めた目的に従い使用及び収益を終わった時に、返還をしな
 ければならない。ただし、その使用及び収益を終わる前であっ
 ても、使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、
 貸主は、直ちに返還を請求することができる。
当事者が返還の時期並びに使用及び収益の目的を定めなかっ
 たときは、貸主は、いつでも返還を請求することができる。

借主の死亡による使用貸借の終了
使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を失う。

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平成17年 宅建試験 【問10】
 Aは、自己所有の建物について、災害により居住建物を失っ
た友人Bと、適当な家屋が見つかるまでの一時的住居とすると
の約定のもとに、使用貸借契約を締結した。この場合に関する
次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているも
のはどれか。

1.Bが死亡した場合、使用貸借契約は当然に終了する。

2.Aがこの建物をC売却し、その旨の所有権移転登記を行っ
  た場合でも、Aによる売却の前にBがこの建物の引渡しを
  受けていたときは、Bは使用貸借契約をCに対抗できる。

3.Bは、Aの承諾がなければ、この建物の一部を、第三者に
  転貸して使用収益させることはできない。

4.適当な家屋が現実に見つかる以前であっても、適当な家屋
  を見つけるのに必要と思われる客観的な時間を経過した場
  合は、AはBに対し、この建物の返還を請求することができ
  る。
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【解答・解説】
肢1.使用貸借は借主の死亡によって、その効力を失う。

肢2.当事者の信頼関係に基づき成立するものであるから、
   貸主が第三者へ目的物の所有権を譲渡した場合は、
   もはや借主は使用貸借を第三者に対抗できない。
   誤りの選択肢。

肢3.借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物の
   使用又は収益をさせることができない。

肢4.当事者が返還の時期を定めなかったときは、借主は、
   契約に定めた目的に従い使用及び収益を終わった時に
   返還をしなければならない。ただし、その使用及び収益
   を終わる前であっても、使用及び収益をするのに足りる
   期間を経過したときは、 貸主は、直ちに返還を請求す
   ることができる。

【解答 2】
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