私的な宅建過去問解説

平成18年9月29日 UP

遺言

普通の方式による遺言の種類
@自筆証書遺言
A公正証書遺言
B秘密証書遺言
※ただし、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。

自筆証書遺言
 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付
及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない

公正証書遺言
@証人二人以上の立会いがあること。
A遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
B公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読
 み聞かせ、又は閲覧させること。
C遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに
  署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない
  場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができ
  る。
D公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったもの
  である旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

秘密証書遺言
@遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
A遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封
  印すること。
B遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、
  自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述す
  ること。
C公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に
 記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。

方式に欠ける秘密証書遺言の効力
 秘密証書による遺言は、定められたる方式に欠けるものがあっても
自筆証書遺言の方式を具備しているときは、自筆証書による遺言とし
てその効力を有する。

※例えば、秘密証書遺言をしようとして、「証書に用いた印章と異なる
 印章で封書に封印をした」場合、秘密証書遺言としては効力はない
 が、自筆証書遺言の方式を満たしていれば、自筆証書遺言として、
 効力を生ずる。

★共同遺言の禁止★
 遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。

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平成17年 宅建試験 【問12】
遺言及び遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定
によれば、正しいものはどれか。

1.自筆証書による遺言をする場合、証人二人以上の立会い
  が必要である。

2.自筆証書による遺言書を保管している者が、相続の開始
  後、これを家庭裁判所に提出してその検認を経ることを怠
  り、そのままその遺言が執行された場合、その遺言書の効
  力は失われる。

3.適法な遺言をした者が、その後更に適法な遺言をした場合
  前の遺言のうち後の遺言と抵触する部分は、後の遺言に
  より取り消したものとみなされる。

4.法定相続人が配偶者Aと子Bだけである場合、Aに全財産
  を相続させるとの適法な遺言がなされた場合、Bは遺留分
  権利者とならない。

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【解答・解説】
肢1.自筆証書遺言にはこのような規定はない。証人が二人
   以上必要なのは公正証書遺言である。

肢2.公正証書遺言の他は、遺言書の保管者は、相続の開始
   を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、そ
   の検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がな
   い場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様
   とする。この検認手続きを怠ると、怠った者に対して、五
   万円以下の過料に処されることがあるが、遺言の効力自
   体には影響はない。

肢3. 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する
   部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものと
   みなされる。正しい記述。

肢4.本肢のように、相続人であるにもかかわらず、遺言により
   一切財産を相続することができないものを保護するために
   遺留分の制度は作られている。したがって、本例のような
   場合にこそ遺留分を請求できるのである。

【解答 3】
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