私的な宅建過去問解説

平成18年9月1日 UP 代理行為

【代理行為】
 本人がある法律行為を自分に代わってすることを第三者に
依頼し、その第三者がこれを引受、本人に代わって本人のた
めに法律行為をすること、である。この引き受けた第三者を
代理人という。

【代理の効果、要件等】
 代理人がその権限内において本人のためにすることを示し
てした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。
 つまり、有効に代理行為をするには、取引の相手方に、本
人のためにすることを伝えないといけない。

 代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示
は、自己(その代理人)のためにしたものとみなす。

 ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り
又は知ることができたときは、有効な代理行為として本人に
対して直接に効力を生ずる。

【表見代理】
 実際には代理権がないのに形上、第三者から見て代理権が
あると誤解してしまいそうな場合である。例えば、代理権を
与えていたがその代理権が消滅した後に、元代理人がした法
律行為などである。本来ならば、代理権限がないので無効で
はあるが、相手方を保護するために、有効な行為としたので
ある。
 なお、相手方の保護のためなので、その相手方が、代理権
を与えられていないことを知っていたときや、過失によって
知らなかったときは、原則通り無効な代理行為となる。

★代理権授与の表示による表見代理★
 第三者に対して他人に代理権を本当は与えてないのに、与
えた旨を表示した場合。

★権限外の行為の表見代理★
 代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が
代理人の権限があると信じる正当な理由がある場合。

★代理権消滅後の表見代理★
 代理権の消滅は、善意の第三者に対抗することができない。
つまり、代理権が消滅したとしても、相手方に知らせておか
ないと、代理権が消滅していることを主張することができな
い。

【無権代理】
 無権代理は、全く代理権を与えていないにもかかわらず、
本人の代理人と称して法律行為をすることである。

・代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本
人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じな
い。逆にいうと、本人が追認すればさかのぼって、有効な代
理行為となる。

・代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本
人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じな
い。
・追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相
手方に主張することができない。ただし、相手方がその事実
を知ったときは、この限りでない。

【無権代理の相手方の催告権】
 無権代理であることを知った場合において、相手方は、本
人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするか
どうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合
において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を
拒絶したものとみなす。

【無権代理の相手方の取消権】
 代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間
は、相手方が取り消すことができる。ただし、契約の時にお
いて代理権を有しないことを相手方が知っていたときは、取
り消すことはできない。


<<<<< 今回はここまで >>>>>
<<<<< 参考過去問として平成17年度問3を掲載>>>>>


■■■■■  平成17年度 本試験 問3  ■■■■■
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 買主Aが、Bの代理人Cとの間でB所有の甲地の売買契約を
締結する場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、
正しいものはいくつあるか。

ア CがBの代理人であることをAに告げていなくても、Aが
  その旨を知っていれば、当該売買契約によりAは甲地を取
  得することができる。
イ Bが従前Cに与えていた代理権が消滅した後であっても、
  Aが代理権の消滅について善意無過失であれば、当該売買
  契約によりAは甲地を取得することができる。
ウ CがBから何らの代理権を与えられていない場合であって
  も、当該売買契約の締結後に、Bが当該売買契約をAに対
  して追認すれば、Aは甲地を取得することができる。

1.一つ
2.二つ
3.三つ
4.なし

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解答・解説
肢ア 有効に代理行為をするには、取引の相手方に、本人のた
   めにすることを伝えないといけない。もし、本人のため
   にすることを伝えなかった場合は、本人ではなく、その
   代理人が自己のために契約したものとなる。しかし、本
   人のためにすることを相手方に示していなくとも、相手
   方が本人のためにすると知っていたときは、有効な代理
   行為となり、Aは甲地を取得することができる。したが
   って、正しい記述。
肢イ 表見代理が成立する。代理権の消滅は、善意の第三者に
   対抗することができない。つまり、代理権が消滅したと
   しても、相手方に知らせておかないと、代理権が消滅し
   ていることを主張することができない。したがって、正
   しい記述。
肢ウ 無権代理も本人が追認したら、有効になる。したがって
   正しい記述。

正解【3】
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