私的な宅建過去問解説

平成18年9月19日 UP
対抗要件・当事者複数の契約の解除

今回は平成17年宅建試験問7の解説のみで。

**************************************************
平成17年 宅建試験 【問8】
 Aは、自己所有の甲地をBに売却し、代金を受領して
引渡しを終えたが、AからBに対する所有権移転登記は
まだ行われていない。この場合に関する次の記述のうち、
民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
 
1.Aの死亡によりCが単独相続し、甲地について相続
  を原因とするAからCへの所有権移転登記がなされ
  た場合、Bは、自らへの登記をしていないので、甲
  地の所有権をCに対抗できない。

2.Aの死亡によりCが単独相続し、甲地について相続
  を原因とするAからCへのの所有権移転登記がなさ
  れた後、CがDに対して甲地を売却しその旨の所有
  権登記がなされた場合、Bは、自らへの登記をして
  いないので、甲地の所有権をDに対抗できない。

3.AB間の売買契約をBから解除できる事由があると
  きで、Bが死亡し、EとFが1/2ずつ共同相続し
  た場合、E単独ではこの契約を解除することはでき
  ず、Fと共同で行わなければならない。

4.AB間の売買契約をAから解除できる事由があると
  きで、Bが死亡し、EとFが1/2ずつ共同相続し
  た場合、Aがこの契約を解除するには、EとFの全
  員に対して行わなければならない。
***************************************************
【解答・解説】
肢1.被相続人Aと相続人Cとはその地位は同一人と考え
   てよい。だとすればCとBの関係は売主と買主との
   関係と同じである。売買の当事者間では対抗関係と
   ならない。登記なくしてBはCに対し所有権を主張
   できる。

肢2.肢1と同様に考える。ただ本肢ではCが第三者Dへ
   売却している。この場合、二重譲渡となる。つまり
   CからB、CからDへの二重譲渡と同視できる。二
   重譲渡の場合は先に対抗要件を備えた者勝ちとなる。
   本肢ではDが所有権移転登記をしているのだから、
   BはもはやDに所有権を対抗することはできない。

肢3.契約の当事者が複数の場合、契約の解除をするには
肢4.全員から全員へ対して行わなければならない。被
   相続人Bの買主としての地位をEとFが相続してい
   るので、買主が複数当事者となる。したがって、買
   主から解除するにはE及びFが、売主から解除する
   にはE及びFに対して行わなければならない。

【解答 1】
**************************************************  


戻る